従来、ステロイド外用薬は、すぐれた効果が認められる反面、塗布部位やその周辺の 皮膚部分、また、ステロイドホルモンなどより血液中に成分が入り込み、体全体に乾癬の症状が回ってしまうという、副作用が現れることがあると指摘されてきました。
例えば、使用した部位の皮膚がうすくなる等が報告されているようです。そこで、こうした副作用をできるだけ抑え、しかもすぐれた効果をそのまま維持する研究が進められ、患部でよく効き、体内で低活性物質に変わるアンテドラッグと呼ばれる、新しい考え方のステロイド外用剤が注目されています。
●炎症性疾患(皮膚病)の治療のために用いられる「ステロイド」は、 ステロイドホルモンを配合した薬品(ステロイド剤)のこと。
●ホルモンとは・・・動物の体内において、ある決まった器官で合成・分泌され、体液(血液)を通して体内を循環し、別の決まった器官でその効果を発揮する生理活性物質のこと。
●アンテドラッグとは・・・ 投与した部位では強く作用するが、体内に吸収された後は急速に代謝、不活性化することで、全身性の副作用が少なくなるように分子構造を工夫した薬剤。
ボンアルファ、ドボネックス、オキサロール
皮膚の新陳代謝を正常にし、異常な角化をおさえる作用があります。患部に限定して塗るようにしてください。使用後はよく手を洗い、軟膏が顔や傷口などに付着しないように注意しましょう。
ステロイド外用薬
ロコイド、キンダベート、アルメタ、フルコート、プロパデルム、リンデロンV、リドメックス、ネリゾナ、テクスメテン、リンデロンDP、マイザー、フルメタ、トプシム、デルモベートなど多数
乾癬の皮膚症状を改善します。ステロイド外用薬は、非常に強力なものから弱いものまで5段階に分類されています。これらを、医師が適切に使い分けます。症状が良くなったら弱いものに切り替えたり、休薬して様子をみることがあります。乾癬の部分は、ステロイドの副作用がでにくいものです。患部にだけ塗るようにして、健全な皮膚に塗り広げないようにしましょう。
その他
サリチル酸軟膏、尿素軟膏(ウレパール、ケラチナミン)
レチノイド
ビタミンAに近いお薬です。皮膚の角化がおさえられ、症状が軽快します。重症例に限り使用されています。奇形を作る作用が強いので妊娠出産の予定のある女性には基本的に用いません。やむおえない場合、妊娠検査などで妊娠を否定したうえで治療を開始します。そして、服用中および服用中止後少なくとも2年間は避妊しなければなりません。
また、男性においても服用中と中止後6カ月間は避妊する必要があります(パートナーの妊娠を避ける)。副作用で多いのは、唇の荒れ、フケ、口内の乾燥、手の皮がむける、脱毛などです。定期的な肝臓の検査も必要です。
免疫抑制薬
免疫抑制薬のシクロスポリンを有効成分とします。乾癬があちこちにできる重症例に用いることになっています。よい効果がありますが、副作用もでやすいので専門医により慎重に使用されます。副作用としては、多毛、高血圧、腎機能の悪化、吐き気などが多いほうです。
さらに肝臓が悪くなったり、血液の異常、けいれん、意識障害もまれにあります。定期的に検査を受け、血中濃度や副作用をチェックしてもらいましょう。なにか普段と違う症状が現れたら、すぐに連絡をとるようにしてください。
※乾癬の治療には、ステロイド外用薬やビタミンDの塗り薬を用いるのが一般的です。全身に発生するような重症例では、チガソンや免疫抑制薬の内服による治療がおこなわれます。