魚鱗癬(ぎょりんせん)は、皮膚病の1つ。魚の鱗のように皮膚の表面が硬くなる病気で、さめはだともいう。皮膚の表面にある角質の形成障害が原因と考えられている。
皮膚は表面の角質層から古くなった角質があかとなって自然に落ちるが、魚鱗癬は生まれつきこの代謝がうまくいかない遺伝性角化症の一つ。古くなった皮膚が固まって表面にとどまり、まとめて落ちたりする
いわゆる「さめ肌」だが、症状や遺伝形式によって10種類以上に分類される。
乾燥皮膚
魚鱗癬は,軽度だがかゆみの強い乾燥皮膚のものから,鱗屑と薄片化を伴う重篤な乾燥皮膚で,外観を損なうものまで,様々である;魚鱗癬は,いくつかのまれな遺伝性疾患と,いくつかの全身性異常の症状である。
乾皮症(乾燥症)は最も軽度なもので,先天的ではなく,全身性の異常とも関連しない。
中年から高齢の患者の下肢に通常現れ,寒い気候のときや頻繁に入浴する人にみられる。軽〜中等度のかゆみと,洗浄剤あるいは他の刺激物による皮膚炎もみられることがある。
遺伝性の魚鱗癬は鱗屑の皮膚表面への過度の接着で特徴づけられるが,臨床的,遺伝的基準で分類される。
遺伝相談と治療指導を受けるために,皮膚科医の診察を受けることが奨められる。魚鱗癬はレフサム症候群(酵素フィタン酸ヒドロキシラーゼの欠乏によって引き起こされる多発性神経炎,難聴を伴う遺伝性の失調症),シェーグレン-ラルソン症候群(先天的知能障害,痙性脊髄麻痺)で特徴づけられる;これらは2つとも常染色体劣性である。
無症候性魚鱗癬は,全身性の疾患(例,らい,甲状腺機能亢進症,リンパ腫,AIDS)に起こり,初期の発現であることが多い。
乾燥した鱗屑は細かく,体幹と下肢に限局性であったり,あるいは厚く,広範囲に広がっていることもある。魚鱗癬の皮疹の生検は診断の助けにはならない;しかし例外もあって,最も顕著なのはサルコイドーシスで,この場合厚い鱗屑が下肢に現れ,生検は通常典型的な肉芽腫を示す。